アトピーと腸内細菌の関係「善玉菌・悪玉菌」とアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、多くのケースではアレルギーが関係して引き起こされる症状だといわれますが、厳密には様々な要因が関係して引き起こされています。

その様々な要因の一つに、腸内細菌のバランスの悪化が指摘されており、アトピーやアレルギー体質の人では善玉菌が少なく悪玉菌が多いケースや、一部の善玉菌(乳酸菌など)が極端に多いなどの傾向があるといわれています。

善玉菌(乳酸菌とビフィズス菌)について

乳酸菌とは?

乳酸菌とは、糖を分解して乳酸を作る菌の総称で、ビフィズス菌も含めて乳酸を作る働きがあれば乳酸菌に含まれます。病原性はほとんどなく、ヨーグルト、乳酸菌飲料、漬け物などの発酵食品の製造に用いられています。一部の乳酸菌・ビフィズス菌は常在菌として腸内や膣内に存在し、ヒトの細菌バランスを維持し、ほかの病原性の微生物から身体を保護する働きを担います。

ビフィズス菌

ビフィズス菌とは、放線菌目に属する細菌の総称で、腸に常在して腸内細菌のバランスを維持する働きがあります。ヒトの腸には5種類ほどが存在し、亜種を含めると30種類ほどあります。糖を分解して乳酸、酢酸を作る乳酸菌の仲間でもあり、一般にビフィズス菌というと「善玉菌」として考えられており、腸内環境を整える働きがあるとされています。

乳酸菌・ビフィズス菌とアトピー性皮膚炎の関係

腸内環境は食生活の影響をうける

腸内の乳酸菌、ビフィズス菌などの細菌バランスは食生活によって影響を受けます。どのようなものを食べているかで善玉菌が優位になったり悪玉菌が優位になったりします。他には、ストレスの影響で腸内環境が悪化することもあります。

一般に、悪玉菌が減って善玉菌が優位な腸内環境が理想的だといわれますが、だからとって悪玉菌が不必要というわけではありません。たしかに悪玉菌は増えすぎると毒素をだして腸内を腐敗させる原因になるのですが、悪玉菌は有害物質に対して働く作用や乳酸菌やビフィズス菌のエサになる役割があり、腸内にある程度は必要なのです。

善玉菌だから増えれば良いと思ってる人がいるようですが、善玉菌と悪玉菌はどちらも不可欠であり、善玉菌優位の状態でバランスよく共存している状態がベストだといえます。

腸内環境の悪化はアレルギーやアトピーにつながる

腸内環境が悪化して腸の中の細菌バランスが乱れると、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎の症状がひどくなることがあります。アレルギー体質やアトピー体質の人では、ちょっとした身体のバランスが乱れることで症状が悪化することがあり、腸内細菌のバランスが乱れることでもはっきりと症状がひどくなることがあります。

乳酸菌は良い面と悪い面がある?

乳酸菌は腸内環境を整える善玉菌として考えられていますが、確かに乳酸菌には乳酸を作って腸内環境を弱酸性に保ち、その結果として悪玉菌を減らす働きがあります。また、腸内でビタミンを作り出し、健康を維持する働きなどもあります。ただし、乳酸菌の中にはビタミンを消耗する働きがあるものや、極端に増加するとアレルギーの原因となる抗体を過剰に作り出してしまう性質があるものもあります。

乳酸菌は善玉菌だからといって必ずしも腸内に増えれば良いというものではなく、そこはバランスが重要になってきます。欧米では必ずしも「乳酸菌=善玉菌」だと考えられておらず、菌種によっては増えすぎると身体にとって有害だと認識されている善玉菌もあります。

一部の乳酸菌はビオチン(ビタミンH)を消化する

ビオチン(ビタミンH)は皮膚病を予防する働きがあることから発見された水溶性ビタミンです。そのビオチンは食物から摂取するほかに腸内細菌によってもつくられていますが、一部の乳酸菌やビフィズス菌にはこのビオチンをエサにして増加する働きがあるといわれています。そのため、腸内細菌のバランスが乱れるとビオチンが作られなくなったり、ビオチンが消耗されたりして不足をまねくことがあるようです。

以下は代表的なビオチンの働きです。ビオチンが不足すると以下のような働きが低下します。

ビオチンの働き

  • たんぱく質の生成に関与して、丈夫で健康な肌を作ります。
  • 角質、髪、爪などの成分であるケラチンを合成に深く関与します。(角質を丈夫にしてバリアを強くします)。
  • セラミドやコラーゲンの合成に関与する。(セラミドの分泌を促して皮膚バリアを強化する)。
  • 抗炎症物質を作り、アレルギー症状を抑えます。(実際にアレルギー患者やアトピー患者にビオチンを投与するとIgE抗体(アレルギー抗体)が減少し、症状が緩和することが多いようです)。
  • 脱毛や白髪の予防。
  • 骨などの炎症や変形に有効。

アトピー患者は乳酸菌が多い?

アトピー患者の便を調べると腸内環境が悪い傾向があるといわれ、ビオチンを消費して増える性質をもつ乳酸菌が多い傾向があるといわれています。一説では、ある種の乳酸菌やビフィズス菌によってビオチン不足を引き起こし、慢性的な皮膚病やアレルギー疾患を引き起こしているのではないかといわれています。

実際に、アトピー性皮膚炎の患者にビオチンを投与する治療も広く行われるようになっています。アレルギーやアトピー患者に対してビオチンの投与を行うと、数ヶ月にかけてIgE抗体(アレルギー抗体)の数値も減少し、皮膚にバリアがでてきてアレルギー症状自体も落ち着いてくることも多いようです。(もちろん、アトピー治療はステロイド外用薬と併用して行う必要があります)。

腸内環境を正常にするには?

腸内環境を整えるために、食生活において大切なことは「悪玉菌が増えないような食生活」、「善玉菌のバランスを考えた食生活」です。悪玉菌が増えすぎないことはもちろん、善玉菌のバランスも重要です。

現代のような飽食の時代には偏った食生活が可能なため、腸内バクテリアのバランスが乱れやすいといえます。食生活が欧米化し、腸内環境が乱れている可能性があります。また、健康に気をつかっている人でも、「健康や美容に良いから」といって健康的な食品ばかりを選んで食べ、かえって腸内細菌のバランスが乱していることも少なくありません。

腸内悪玉菌を減らすには?

  • 腸内の悪玉菌を減らすには、古来から続けてきた日本的な食生活を意識してみましょう。
  • パンよりも米、肉類よりも魚や豆。また、野菜が不足しないようにします。
  • 食品添加物が多い加工食品なども控えるようにしましょう。
  • 暴飲暴食やストレスも腸内環境を悪化させる原因になります。

腸内善玉菌のバランスを整えるには?

  • なんらかの食品を食べて下痢をしたりする場合は、その食品は控えるようにします。(下痢は細菌やウイルスを追い出すための反応なので、下痢をしてしまう食品は身体に合わないと考えてください)。)
  • 乳製品のとりすぎに注意し、特に乳製品でお腹がゆるくなる人は控えるようにしましょう。(乳製品は腸内細菌バランスの悪化、消化不良、下痢、アレルギーなどの原因になります)。
  • 乳酸菌が豊富に含まれるキムチやお漬物を食べてお腹がゆるくなったり下痢をしたりする場合も注意します。
  • ビフィズス菌などが配合された整腸剤を飲んで、下痢をする人も善玉菌が多すぎる傾向があります。
  • ビタミンCも腸内善玉菌を増やす作用があるため、サプリメントなどで飲みすぎに注意しましょう。