アトピー性皮膚炎は遺伝する?

アトピー性皮膚炎というと、遺伝的な影響であるため一生治らない病気だという認識をもっている人が多くいます。

やはり家族がアトピー素因、アレルギー素因をもっているとアトピー性皮膚炎を発症しやすい傾向がありますが、必ずしもそうでないケースも多くあります。

アトピー性皮膚炎と遺伝の関係

アトピー素因をもつ定義

日本皮膚科学会ではアトピー素因をもつ定義として、以下のようなものを上げています。

  • 家族がアトピー性皮膚炎やアレルギー体質であること。
  • 気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎のうちいずれかをもつ。
  • 血液検査により、IgE抗体(アレルギー抗体)を産生しやすい体質であること。

必ずしも遺伝が影響しないケースも多い

アトピー性皮膚炎は家族歴など遺伝的な影響が関係する傾向がありますが、必ずしもそうとはいえないケースも多いです。両親ともアトピーやアレルギー症状がまったくないのに、その子供は重度のアトピー性皮膚炎をもつケースや、両親とも重度のアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状をもつのに、その子供には全く症状が現れないケースなど、遺伝が影響しているとはいえないケースも多いです。

アトピー性皮膚炎の症状が遺伝的な影響だとして親を責めたりしてはいけません。アトピー性皮膚炎は適切な対処をすれば必ず軽快していく病気なので、前向きに治療していきましょう。

幼児期では多くの幼児が発症する

アトピー性皮膚炎は遺伝が影響する傾向があるといわれていますが、幼児期では全体の1~2割がアトピー性皮膚炎の症状がみられ、割合としては決して少ない数字ではありません。そして、幼児期にアトピー性皮膚炎を発症しても、適切な治療をしていれば小学校に入るころには大部分が症状がでなくなり、思春期を過ぎるころにはほとんどの人が症状が治癒していきます。

これは年齢を重ねることによって免疫が安定してくるからだと考えられ、実際に30代からアトピー患者は激減し、50~60代以上になるとアトピー性皮膚炎はほとんど存在しません。

アトピー性皮膚炎は、免疫の過剰反応によって引き起こされ、免疫が落ちつくと症状も落ちつく傾向があります。反対に免疫力を高めるということは、アトピーやアレルギーの症状の悪化につながる可能性があります。

妊娠中のアトピー性皮膚炎の誤解

アトピーやアレルギー症状は子供に遺伝する傾向があることから、「妊娠中に食事制限すると子供の発症を予防できる」という研究結果が話題となったことがありました。アレルギー検査(血液検査)で発覚したアレルギーをもつ食品を妊娠中に徹底的に除外する食事制限方法ですが、日本皮膚科学会では妊娠中に食事制限をしても、その子供のアレルギー疾患の発症予防効果はなかったとして食事制限は不要だと結論付けています。また、授乳中でも同様です。

また、アトピー性皮膚炎はステロイド外用薬による治療が中心ですが、ステロイドの副作用による子供への影響を考慮して妊娠中に治療を怠り、症状が悪化する人がいます。ただし、ステロイド外用薬では内服薬と比較して微量しか体内に吸収されないため、妊娠中でも授乳中でもステロイド外用薬は問題ないとされています。

なによりも妊婦に極端な制限を行うのは精神的な苦痛となり、かえって産まれてくる赤ちゃんにとってマイナスのように思えます。