【アトピー性皮膚炎】ステロイド外用薬は顔に塗ってはいけない?

アトピー性皮膚炎の標準的な治療はステロイド外用剤が中心ですが、ステロイド外用剤の副作用を気にするあまり、顔に使用しないほうがいいというような情報を目にすることがあります。

ただし、適切な強さで短期間で上手に使用すれば副作用の心配はほとんどないと思います。

ステロイド外用剤の顔への使用について

ステロイド外用剤の副作用

ステロイド外用剤には薬の強度や長期使用によって副作用があるといわれていますが、主に以下のような副作用が起きるといわれます。

  • 皮膚が薄くなる・・・皮膚が薄くなり、刺激に弱くなったり、出血しやすくなる。
  • 毛細血管拡張・・・毛細血管が拡張して、血管が透けて見えるようになります。
  • ステロイド潮紅・・・皮膚が薄くなり、毛細血管が拡張することで皮膚が赤みを帯びます。
  • ステロイド紫斑・・・ちょっとした刺激で内出血や黒アザができやすくなる。
  • ステロイドニキビ・・・ステロイドのホルモン作用や免疫抑制作用によってニキビができやすくなる。
  • 毛が濃くなる・・・ステロイドの影響によって毛が濃くなったりすることがあります。
  • 細菌・真菌感染・・・ステロイドの持つ免疫抑制作用により、細菌・ウイルス・真菌などに感染しやすくなります。

これらの副作用は、強いステロイド外用薬を長期的に使用した場合の副作用であり、ステロイド外用薬と他の薬を上手に使って治療すれば副作用についてあまり神経質になることはないと思います。ただし、顔は薬剤の反応が良いため、ステロイド外用剤の副作用が起きやすい傾向があるため注意が必要です。

ステロイド外用剤の副作用は、薬の強度や種類、使用期間、個人差などによって異なりますが、顔以外の部位では強いステロイド外用薬でも週に数日程度の使用であれば半年から1年くらい使用しても副作用が生じないことがわかっています。顔面や首元以外の部分(体幹、四肢など)ではこれらの副作用は比較的まれですので、症状に応じた適切な強さの外用療法を行えば副作用は生じにくです。

ステロイド外用薬の顔への使用について

ステロイド外用薬の吸収率の違い「身体の部分別」 右の図は、ステロイド外用薬の反応や吸収率の違いを前腕内側を(1.0)として比較したものです。やはり、顔の部分は薬剤の吸収率が他の部位に比べて高いことがわかります。

前腕内側を(1.0)とすると、額は(6.0)もあり、アゴにいたっては(13.0)となっています。単純に言うと、前腕内側とアゴに対して同じ薬を使った場合、13倍もの副作用リスクがあるということです。反対にいうと、1/13の強度のステロイド外用薬で十分だと考えることもできます。

ステロイド外用薬による副作用は主に顔面に発現しやすいことから顔面の症状にはできるだけステロイドを使用せず、使用する場合もミディアムクラス程度の弱いステロイド外用剤を短期的に使用します。

ステロイド外用薬には薬の強度によって「I群、ストロンゲスト(強力)」「II群、ベリーストロング(より強い)」「III群、ストロング(強い)」「IV群、ミディアム(普通)」「V群、ウィーク(弱い)」の5段階に分けられ、ミディアムクラスというと下から2番目のおだやかなレベルです。

顔の皮膚炎にはプロトピック軟膏

顔や首元などの薬剤の反応が良い部分においてはステロイド外用薬の長期使用によって副作用が起きることがあるため、「プロトピック軟膏」という外用免疫抑制剤を使用することが多くなっています。プロトピック軟膏は全身の皮膚炎に使用することができますが、副作用を避ける目的で主に顔や首の炎症に使用されます。

プロトピック軟膏はステロイド外用薬でいうところの「ストロング(強い)」レベルの効果だといわれています。

ステロイド外用薬の使用で皮膚が黒くなる?

ステロイド外用薬を使用すると皮膚が黒ずむから顔には使用しないほうが良いということをよく耳にしますが、基本的にはステロイド外用薬によって皮膚が黒ずみを起こすのではなく、皮膚の炎症をきちんと抑えなかったためにメラニン色素が生成されて黒ずみを起こします。皮膚が黒ずむ現象は成人期の首元にできやすいのが特徴です。