【アトピー】ステロイド外用薬の副作用と発現しやすい部位

アトピー性皮膚炎の標準的な治療はステロイド外用薬を用いた方法が中心です。

ところが、ステロイド外用薬を長期的に使用すると「ステロイド皮膚症」といわれるステロイドによる副作用が現れる問題があります。

ステロイド外用薬の副作用が起きやすい部位

ステロイド外用薬の吸収率の違い「身体の部分別」 右の図は、ステロイド外用薬の吸収率を表したものです。前腕内側を1.0とすると、額では6.0、アゴでは13.0と格段に反応がよくなります。それだけ、ステロイドの効果も現れやすいということですが、その反面、副作用がでる可能性も高くなるということです。

顔以外の部位ではステロイド外用剤の反応が悪く、強いステロイド外用薬を使用しても週2~3日程度なら半年から1年くらい使用しても副作用が生じないことが報告されていますが、それでも、使用方法を誤ったり、ステロイド外用剤の使用が長期的になるほど、副作用がでやすいといえます。

ステロイド外用薬による副作用の症状

薬剤の吸収率は体の部位によって何十倍もの差があり、また使用するステロイド外用剤によって副作用のリスクも異なりますが、以下は一般的に起こるステロイド外用薬による局所的な副作用です。(外用薬としてのステロイドではごく微量しか体内に吸収されないため、通常の一日の上限使用量30g程度を守って使用すれば体内への副作用が起きる心配はありません)。

皮膚萎縮・皮膚が薄くなる

ステロイド外用薬を長期的にわたって使用した場合、皮膚が萎縮して薄くなり、線状にすじが入ったようになることが稀にあります。これにより、以下のような現象を引きこすことがあります。

  • 血管が浮き出て見えたり、皮膚が赤みをおびるようになる。
  • 皮膚が刺激に弱くなり、簡単に出血しやすくなる。
  • 皮膚刺激が伝わりやすくなり、かゆみやヒリヒリ感が増強される。

ステロイド外用薬による皮膚が薄くなる副作用は、特にひじやヒザの内側、ワキの下、太もも、側腹部などに多く見られ、小児や老人に多く生じます。

薬剤の反応が良い顔面や首元へのステロイド外用薬は、通常はミディアムクラスからストロングクラスのレベルにとどめます。また、プロトピック軟膏という非ステロイド剤である外用免疫抑制剤を使用することが多いです。

毛細血管拡張

ステロイド外用薬は毛細血管を収縮させるので最初はお肌が白くなるのですが、継続して塗り続けると毛細血管がもろくなり拡張してくることがあります。ステロイド外用薬を中止すれば副作用の進行は止まりますが、毛細血管拡張の改善には1年以上を要することもあります。

ステロイドニキビ(ステロイドざそう)

ステロイドのホルモン作用や免疫抑制作用によって、ニキビ、吹き出物、ブツブツができやすくなります。

ステロイド紫斑

ステロイド外用薬の継続使用によって皮膚が薄くなることで、ちょっとした刺激で内出血や黒アザ(皮下出血)ができやすくなります。加齢によって皮膚が薄くなる老人に生じやすい傾向があります。

ステロイド潮紅(酒さ様皮膚炎)

ステロイド外用薬を中止した段階に皮膚が赤くなったりブツブツができたりする症状で、主に顔面に生じます。小児や成人女性に生じやすく、長期にわたって不適切に使用された場合にも生じます。酒さ様皮膚炎ともいいます。

多毛(毛が多くなる、濃くなる)

ステロイドのホルモン作用によって毛が周囲に比べてやや多くはえてくることがあります。特に小児に多く生じます。

感染症(細菌感染、真菌感染)

ステロイドの持つ免疫抑制作用により、細菌・ウイルス・真菌に感染しやすくなり、ニキビ、吹き出物ができやすくなる。感染症などに対して誤用した場合には増悪をまねきます。ステロイド外用剤は、薬剤塗布部位の免疫力を低下させるので、擦り傷や切り傷がある部分には、通常は使用することはありません。

口囲皮膚炎

口の周りが赤くなり、ブツブツができます。中年女性に多く生じ、長期にわたって不適切に使用された場合に生じます。

緑内障

ステロイド外用薬が眼に影響を及ぼすと、ごくまれに緑内障(眼圧が上昇する症状)を引き起こすことがあります。ストロングクラスのステロイドを使用した場合や、ステロイド外用薬が手についた状態で目を掻いたりこすったりすると緑内障を引き起こす可能性があります。

また、アトピー性皮膚炎における白内障や網膜剥離もステロイド外用薬が原因となっている可能性が指摘されていましたが、最近ではステロイド外用薬の副作用というより、目を掻いたり、こすったり、周囲の皮膚を叩いたりする物理的な刺激が主な原因となっていると考えられています。

ステロイドの副作用を予防するポイント

患者側がステロイドの知識をもつ

患者側がステロイドの副作用を過剰に気にすることを考慮して、医師によってはステロイド外用薬の副作用の説明を十分に行わないこともよくあります。間違った使い方をしないように、どのように使用すれば副作用が起きる可能性があるのかをしっかり理解する必要があります。

非ステロイド剤へ治療を切り替える

ステロイドの副作用を起こさないためには、非ステロイド剤であるプロトピック軟膏という外用免疫抑制剤などに切り替えて副作用を避けることもあります。特に、顔や首元は薬剤の反応が良く、ステロイド剤の副作用も現れやすいため、プロトピック軟膏を使用することが多くなっています。

ステロイドの副作用が起こった場合は?

ステロイド外用薬による副作用が疑われる場合、ステロイドの外用を中止したほうが良いケースもあります。ただし、それがステロイド外用薬による副作用なのか、それともアトピー性皮膚炎の症状なのか的確に判断する必要があります。ただし、医師でもこれらの症状を見分けるのは困難なケースもあります。

ステロイド外用薬は少なからず副作用のリスクが存在するため、一部の医師やアトピービジネス業者ではステロイド外用薬の治療そのものを否定し、脱ステロイド療法を主張する者もいます。