アトピー性皮膚炎の原因とは?「発症の仕組み」

アトピー性皮膚炎は、現在まではっきりとした原因が解明されておらず、症状が発生するメカニズムはおそらく複雑で多岐にわたります。

アトピー性皮膚炎の原因は「多因子性疾患」といって多くの原因が複合して発症する病気であり、専門医の間でも発症メカニズムに統一した見解がありませんが、現在までいわれているいくつかの説を紹介します。

アトピー性皮膚炎の原因

遺伝的要因

遺伝子の解析により、マスト細胞、好酸球にIgE抗体(アレルギー抗体)を結合させるレセプターの反応が高いことや、サイトカインのうちアレルギーの炎症に関与する遺伝子が集中している遺伝子座がアレルギーと関連していることが明らかになっています。

家族がアトピー素因をもつと発症しやすいことがわかっているように、やはり遺伝的な影響があると考えられています。ただし、遺伝的な影響の疑いがまったくないのにアトピー性皮膚炎を発症するケースも少なくありません。

アトピー性皮膚炎患者の多くが花粉症、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などの病歴をもつことから、アレルギーとの関連があるのではないかといわれています。ただし、アレルギーをもつ判断の目安として血液検査によるIgE抗体(アレルギー抗体)を調べると、IgE抗体がみられないのにアトピーを発症する場合や、IgE抗体が陽性であるのに症状がまったく出ない場合もあります。これらの事例がアトピー性皮膚炎の原因がはっきりしない理由となっているところです。

アトピー性皮膚炎は発展途上国に少なく、文明国になるほど患者数が多くなることがわかっており、また、その中でも特に裕福な家庭であるほどアトピーになりやすいことがわかっています。これらの事例から、遺伝的な影響というよりも生活環境やライフスタイルが根本的な原因となってアトピーは引き起こされているのではないかという疑いもあります。

環境的要因・生活的要因

ダニ、ハウスダストなどのアレルゲン、または皮膚の常在細菌などの様々な特異的アレルギー抗原物質が関与してアトピー性皮膚炎を引き起こすのではないかという説です。2歳くらいまでは食物アレルギーが原因である可能性が高い傾向があります。他にも、洗顔料、洗剤、合成界面活性剤、化粧品成分、水道水の塩素などがアトピー悪化の原因になっているのではないかといわれています。

また、アトピー性皮膚炎を起こしやすい乾燥性敏感肌では、気温や湿度、季節の変化にも敏感で、特に乾燥が厳しくなる冬場に症状が悪化しやすい傾向があります。また、汗を多くかきやすい夏場にも汗の塩分が刺激となって悪化することもあります。このほかにも、ストレスや疲労なども悪化原因と考えられています。

表皮バリア機能の乱れ

皮膚バリア機能そのものがなんらかの原因によって破綻することで慢性的にアレルギー物質(アレルゲン)などの抗原刺激が生じ、それがアトピー性皮膚炎の原因となっているのではないかという説です。

アトピー性皮膚炎患者の多くは高いIgE抗体をもっていることが多い反面、IgE抗体が正常の人でもアトピーを引き起こすことがあるのですが、そのケースではバリア機能の破綻によって慢性的な皮膚炎を引き起こしている疑いがもたれています。

アトピー性皮膚炎患者は元々肌が刺激に弱いため、ちょっとしたことで肌荒れを起こしてしまう傾向があります。以下は、皮膚のバリア機能が破綻してしまう主な原因です。

  • 保湿などのスキンケア不足。または過剰な洗顔など。
  • セラミドの減少によるバリア機能低下。(乾燥や過度なスキンケアによってセラミドが不足すると、肌水分量が減少して角質層が極端に乱れることがわかっています)。
  • 合成界面活性剤、化粧品の成分、洗剤、水道水の塩素などによる皮膚へのダメージ。
  • 慢性的に皮膚を掻くことによる表皮バリアの乱れ。
  • 長期的なステロイド外用剤によるバリア機能破綻。(ステロイド外用薬はコルネオデスモゾームを破壊して表皮バリア機能を低下させるため、アトピー性皮膚炎の環境系悪化因子と位置付けられています)。