アトピー性皮膚炎の治療Q&A

アトピー性皮膚炎は、多因子性疾患といっていくつかの原因が合わさって引き起こされる慢性的な皮膚疾患です。アトピー性皮膚炎の原因はアレルギーが関与しているといわれており、他のアレルギー疾患をもつ人は一般的にアトピー性皮膚炎を発症しやすい傾向があります。

日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎の定義、診断基準」によると、「アトピー性皮膚炎は憎悪と寛解を繰り返す、痒みを伴う湿疹を主病変とする疾患で、患者の多くはアトピー素因をもつ」と定義されています。「アトピー素因」は以下のようなものがあります。

(1)家族歴、既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちのいずれか、あるいは複数の疾患)
(2)IgE抗体(アレルギー抗体)を産生しやすい素因。

つまり、アレルギー体質であり、慢性的に痒みと湿疹がみられる場合はアトピー性皮膚炎である可能性があります。発疹はおでこ、目のまわり、口のまわり、首、ひじ、ひざなどの関節周囲、背中やお腹などに出やすく、左右対称性があります。

ただし、アトピー性皮膚炎が必ずアレルギー反応が関与しているとは限りませんが、多くの患者ではアレルギー疾患をもつことからアレルギー反応が関与しているとされています。現在では国民の3割がアレルギー疾患をもつといわれており、アトピー性皮膚炎においても決してまれな症状ではありません。

アトピー性皮膚炎の標準的な治療

ステロイド外用薬 アトピー性皮膚炎の標準的な治療は、ステロイド外用薬を中心とした方法が一般的です。ステロイド外用薬には間違った使い方をすれば副作用を起こす可能性があるのですが、上手に使用すれば副作用を起こすこともなく湿疹も改善され、症状をコントロールできるようになります。

ステロイドを用いない治療では、外用の免疫抑制剤のプロトピック軟膏や抗アレルギー薬などの内服などもよく使用されます。プロトピック軟膏はステロイド外用薬の副作用を避ける目的で使用されることが多く、特に薬剤の反応がよい顔や首などの湿疹に対してステロイド外用薬の代わりに用いられます。

ステロイドには副作用があることから、皮疹があるにもかかわらずステロイドを避けた治療をすすめる医師もまれにいますが、症状がある場合は必ずステロイド外用薬によって湿疹をしずめることが重要です。(症状を放っておくと、その後の治りが悪くなります)。

バリア機能の乱れが症状をまねく?

アトピー性皮膚炎はアレルギーが関与しているといわれていますが、アレルギー反応がない人においても発症するケースも少なくないことから、皮膚のバリア機能の破綻によって皮膚炎が引き起こされているのではないかともいわれています。

実際に、アトピー性皮膚炎のような敏感肌では皮脂や潤いが少なく乾燥しており、皮膚のバリア機能が乱れて刺激に対して弱い状態になっていることが多いです。(乾燥した肌はキメが乱れて、アレルゲンなどの異物の侵入を防ぐ働きが低下しています)。

バリア機能が低下していることで慢性的に異物・アレルゲンなどの影響を受け、それによってアレルギー反応を引き起こして症状が慢性的になっている可能性があります。

バリア機能が乱れる原因は、保湿などのスキンケア不足、過剰な洗顔などがあります。アトピー体質ではなくても、肌が乾燥するとかゆみが出る人がいるように、肌が乾燥しないように保湿剤でしっかり皮膚を保護することが重要です。

敏感肌のスキンケアの基本

アトピー性皮膚炎のような乾燥性敏感肌では、角質層の皮脂量や水分量が少なく乾燥しているのが特徴です。特に皮脂量が少ないため肌の水分を閉じ込めることができずに水分蒸発してしまい、化粧水などで水分補給しても潤いをキープすることができません。そのため、皮膚のバリア機能が弱い人では、軟膏やクリームなどで皮膚を保護する必要があります。

肌は十分に潤いがないと活発に新陳代謝を行うことはできません。乾燥したままの状態ではターンオーバーが乱れて新陳代謝が悪化し、炎症を起こした肌を回復する働きも弱くなってしまいます。また、肌の乾燥が続くと皮膚にハリや弾力がなくなり、シワや小じわ、たるみの原因になることがあります。アトピーだけではなく肌老化を予防するという意味でも、毎日の保湿スキンケアは重要な要素を占めます。